本研究資金を使用したコパン遺跡における考古学調査において、研究代表者のチームが本年3月に発見した石碑64の碑文解読に関する論文が公開されました。 - 2024.10.08

更新日:2024.10.08


石碑64の発見に関する大学のプレスリリースは こちら (2024年3月)

 石碑64は、19世紀以来、マヤ文明研究の中心地の一つであるコパン遺跡において、実に35年ぶりに発見された重要な石碑(断片)です。この石碑は、王朝創始後まもなくの時期である5世紀の石碑であり、王朝6代目王であるチャン・アークにより建立されたようです。その碑文には、コパン王朝がグアテマラ・マヤ低地のティカルやカラクムルといった複数の王朝と同じく、「マゲイ・メタテ」とあだ名をつけられた謎の都市とつながっていることが示唆されています。数多くのマヤ研究者は、この謎の都市は、マヤ低地における紀元前(先古典期後期)の巨大都市エル・ミラドールかナクベではないか、と考えています。さらに、この石碑では、コパン王朝4代目王のカルトゥーン・ヒシュが、自身の出身地を当時マヤ低地で最盛期を迎えていたリオ・アスール遺跡の王朝であることを示唆しているようです。

 本科研費研究は、こういった最盛期マヤ王朝間の碑文に記載されている歴史情報を、古人骨から遺伝情報を抽出するパレオゲノミクスの科学的手法によって検証し、その歴史ダイナミクスを解明することが主題であり、この新たな情報は、パレオゲノミクスによる検証に値する極めて重要な歴史情報であるということができます。そのため、研究代表者は、グアテマラ人類学歴史学研究所の協力を得て、1980年代にリオ・アスール遺跡で発掘された王墓を含む貴族層の墓からの人骨の同定とサンプルの回収を開始したところです。

碑文の解読に関する論文(ウェブサイト:Textdatenbank und Wörterbuch des Klassischen Maya)
論文名: "Stela 64: A New Epigraphic Discovery at Copan, Honduras"