研究報告(中込滋樹)- 2023.05.05

更新日:2023.05.05


 本年度は既に予備解析として処理していた7個体のゲノムデータに関して、集団遺伝学解析を進めてきました。パレオゲノムデータにおける一般的な問題点として、ゲノム抽出によって得られるDNA量が微量であるために、ゲノム全体が薄読みの状態になりやすいということがあります。その1つの解決策が全ゲノムimputationです。これは、もともと現代人のゲノムデータにおいて、観察されなかった遺伝子型を参照パネルのデータをもとに予測することで、実際に得られたデータ以上のデータを得ることができる方法として開発され、幅広く適用されています。私たちは、このimputationをパレオゲノムデータに適用すべく、その精度を検証してきました。その結果、ゲノム全体のカバレッジが>0.1Xであれば、99%以上の信頼性をもって遺伝子型を予測することができることが明らかとなりました。そこで、現在私たちは全ゲノムimputationをコパンのゲノムデータに適用した上で、集団遺伝学解析を行なっていくためのパイプラインを構築しています。